オマーン

書き忘れ、後回しにし続けて幾星霜。


エミレーツ航空は快適でした。CAさんの制服は帽子からふわっと垂れたスカーフがそそります。

ドバイでトランジットだったのですが、4時間くらい暇があったので意味もなく出国して入国してみました。わーいハンコもらったー。ドバイの免税店では抽選でランボルギーニジャガーがあたるとかいう闇雲に豪華なイベントが常時開催されているらしい。景品が無造作に展示されてるのでカウンタックをなでなでしてきた。おもちゃ屋で日本のアニメDVDが売られていたけどジャケットの絵が非常に微妙だ。誰が描いたんだ。しかもアップが花道(微妙)と牧(かもしれない。私にはわからなかったのでSDオタ経験者キワコさんに相談の結果一応の結論を得る)で背景が信長(おそらく)と流川(後姿かよ)って何押しなんだ。そしてSDやDBやキャプ翼遊戯王はともかく炎の闘球児ドッジ弾平って懐かしすぎる。

さてマスカットに着きまして、入国ビザを取るわけですが、本当なら1800円ばかしかかるところ、さっきドバイのハンコをもらったために(多分)タダで済んだらしい。こちらの英語力がないために「ドバイにいたならお金はいらない(多分)」と言ってるらしいビザ係の人の説明がよくわからずなんだか狐につままれたようでしたがあれよあれよという間に返金されました。ラッキー…?

マスカットはなんだかものっすごくのんびりしたところでした。外国人にとってはどちらかというと観光地というよりはリゾート地。観光客はほとんどいない。日本人を全然見かけない(おかげで普段なら声に出したくない日本語も使い放題だ。どんなことでも言えちゃうぜ!おたくだろうがしもだろうが!)観光客が珍しいのか東洋人の女児2人連れが珍しいのかはたまた遊女とでも思われているのか、歩いていると通り過ぎる車からすごい勢いでクラクションを鳴らされ声をかけられました。小学生の集団にぶつかった時は全員が口々に「は〜ろ〜?はぁわぁゆ〜?」と覚えたてっぽい英語で話し掛けてきました。うわー生ウルルン。でもごめんおばちゃんたち英語アカンねん…。

向こうの人たちは英語が第二言語みたいな感じで若い人は相当話せる様子。何度も「YOU英語話せないの?」と訊かれた。「ほんのちょこっとだけね…あはあは」とジャパニーズスマイル。しかし人によってはかなり訛っている上に私は外国語は大変苦手なので常時頭フル回転で知恵熱出そうでした。

観光するところはそんなにないけどとりあえず一通り見て回ろうと、午前中は値切ったタクシーで街に行って(街の機能が3つくらいの地区に分かれていてそれぞれ相当離れてる。その間はタクシー(平均120km/h)等で移動する。首都なのに不便じゃないんだろうか??)博物館やらなんやら見てみました。昼間は暑すぎて動けないのでホテルで昼寝して夕方また散歩に出る…というのんびり生活の繰り返し。

ていうか暑いです。気温が高くて湿度も高くて日差しは刺さる。明け方で既に日本の真夏の昼下がりっていう蒸し暑さ。ああそうめん食べてお昼寝しなきゃ…みたいな。そして当たり前だけど毎日ピーカンに晴れ。ピーカンてなんだ?

夕方涼しくなると地元の(多分)男性たちが皆砂浜に出てきて裸足でサッカーしたりランニングしたり海に入ったりして遊んでます。ああなんだかいい光景だ…。珍しいところでは馬を駆るグループや1人でバギーを乗り回してる人(スネ夫命名)もいました。そんなビーチを裸足になって片道小1時間散歩がてら夕食の買出しにいってみたり。日本じゃありえない…心の洗濯。

ホテルはベストウェスタンに泊まりました。船をモチーフにしたなかなかかわいいホテル。天井にはキブラ(カーバ神殿へ礼拝する方向)を示す矢印が貼られ、クローゼットには礼拝用の絨毯が置かれ、わぁイスラム圏だーと実感しました。お部屋はきれいで快適。4泊中熱いお湯が出たのが1日だけであとは人肌程度のぬるま湯だったのと、これはどこもだけど強力すぎるクーラーにはちょっと困りましたが。あまりにドライ機能が強くて、バスタブにお湯を張ってもお湯につけたバスタオルを吊るしてもあっという間に鼻が乾いて息が出来なくなる。「間引き…」とか言いながらびっしょり濡らしたハンカチを顔に載せて寝た日もあるけどそれも朝にはカラカラに(震)。ホテルの知名度はそんなに高くないみたいだったけど、お城のようなグランドハイアットの隣だったので、タクシーでもどこでも「ハイアットの横!」というと速攻「合点承知!」と通じてとっても便利でした☆

出会った人たちは皆親切でした。ちょっと道を尋ねたら「すぐそこだから着いてこい(多分)」と20分も一緒にあるいてくれたり、博物館からホテルまでちょっと遠そうだけどまあ歩いてりゃ着くだろーと歩き出したら、おいおいあいつらこの昼日中に歩くつもりだよぜってー行き倒れるぜとか向こうで相談がまとまったものか職員が追いかけてきて車で送ってくれたり…。ていうか彼らは仕事はいいのだろうか。のんびりしてるのだろうか。誰が働いてこの国は動いてんだろう。インド系の労働者がたくさん来てるみたいだったけど。

親切にしてくれた人たちは皆すぐ携帯の番号を教えてくれます。「これ俺の番号だから、何かあったら遠慮しないでかけてくれよな!力になるぜ!」と。この気軽さ、携帯が広まり始めた頃の…まだワン切り詐欺とか迷惑メールとかがない頃の、大学生みたいだ。懐かしい。

お昼に港町の軽食スタンドにて例によって珍獣を見る眼で見られながらオレンジジュースをすすってたら話し掛けてきたお調子者のタクシー運転手のマルムッド(多分)は、1時間以上しゃべった上に数時間後にまたどこからともなく現れて市場を案内してくれたけれど、彼の半日はそれでよかったんだろうか。そのマルムッドが携帯を出して「これが俺のノキアさ。日本じゃノキアはいくらするんだ?(多分)」と訊いてきたので「日本にはノキアを使てる人はおへんぇ」とドコモを見せたらなんだか興味津々でいじってた。「カメラ使わせろカメラ(多分)」というので立ち上げたら店内の人をせっせと撮りまくり始めた。待て待てこっちは電池ケチりながら使っとんねん!でもインド系のかわいい赤子ショットを入手したからよしとする。カメラを向けていいものかわからなくて現地の人の写真って撮れなかったから。そのうちどこを触ったのか音楽を鳴らし始めるマルムッド。オマーンのジャンクフード屋に流れる『離さないで愛』…。きっとオマーン初だろう。どうだ!(高笑い←?)あと『最後のダンス(エリザ)』と『Hello,Broadway(SHOCK)』も。あああ。

空港とマスカット市街の間にあるスルタン・カブース・グランド・モスクには行きました。薄いスカーフ(これしか持ってない)を一応つけていったのですが、入口で「もっとちゃんと隠せ!(多分)」と言われ、あわあわ。そういう困ったちゃんの異教徒のために常備しているらしい大きな布を「ったくガイジンはしょーがねーな」という顔で貸してくれました。髪・頭部をきっちり覆って、手首足首も隠れていないといけないらしい(多分)。職場の冷房避けショールくらいの大きさが必要だったか。ヨーロッパ人らしき人々も入り口でとまどったりしてましたが、彼女たちは慣れない様子ながらも小粋に巻いてるのに我々はタマゴ売りのお婆さんにしか見えないのはなんだろうな。モスクは素晴らしく壮麗でした。巨大なシャンデリアとか広大なイランのカーペットとかがご自慢の様子。これだけの伽藍の中がからっぽというのがまた不思議な感覚。仏像も神像も聖人像もなにも乱立してない。偶像崇拝しないってすごい。


…というような旅でした。絶対行った方がいい!とお薦めするとかじゃありませんが、アラビア世界が好きでかつ日本と違う時間の流れを味わいたかったらどうぞ、って感じです。