外科室・海城発電 他五篇(ISBN:4003127129)

『夜行巡査』インプットされた任務の遂行しかしないはずのサイボーグの青年がふとしたはずみに人間の女性と恋をするのだけれど結局プログラムに逆らえず自滅してしまうお話。(嘘)
『外科室』どんなストーリーかということは知っていたけど、こんなに混じりっ気ナシの、ひたすら「ただそれだけ」のものだったとは。若書きだと言われてみればなるほど納得。後年の、あでやかな情景が果てしなく目の前に広がるような仕掛けはないけれど、核になる部分は同じで、仕掛けがない分純粋で激しいというかなんというか。これから洗練されたパイ包みやテリーヌに料理されて美しく華やかに盛り付けられる前の、そのまんまのしかし極上食材のフォアグラ、みたいな。いえ別にフォアグラなイメージでもなんでもないですが。