歌行燈・高野聖(ISBN:4101056013)

天守物語』を読もうと大きな書店に行ったけれどなかったので代わりに『外科室』を買ったけれど最近軽いミステリの借り読みばかりしてたのでいきなりこの文体はしんどいかもと思ったのでリハビリのために本棚から引っ張り出してきて再読。収録作どれも面白いですがとりあえず表題2作だけコメント。
高野聖』もう言い尽くされすぎてて今更書くことじゃないですが、日本語がそれはもうもの凄く美しい。むっと草いきれの立ち込める山の道や、蛭の降る暗い林や、その林をぽっかりと抜けた後の明るい夏山や、岩を流れる清冽な谷川、などなど日本の湿気に満ちた深山の光景が目の前に立ち現れるようです。老僧の語り口がまた効果抜群。音声付フルカラーハイビジョンで限りなくリアルに浮かぶんだけど、どこか非現実的。じっとりと粘膜が光るようだけど、清潔。面白いですよー!
『歌行燈』やーもう門付けの兄さんがかわいくってね!(こんな感想でええんか)なにやらコミカルにのんびりと始まりますが、湊屋の場面とうどん屋の場面が交互に繰り返されるうちにいつの間にやらキリキリと引き締まってきて、次第に加速して見事に美しい終末へとなだれこみます。ネタバレになってしまうので多くは書けませんが…読み終えた後、もう一度読み返されることをお勧めします。