ディファイルド

また茶屋町に引き返して今度は地下のシアタードラマシティ。今日は本来なら定時退社ダッシュでこれだけ観るはずだったのです…。
大沢たかお×長塚京三の2人芝居。目録カードの電子化に伴うカード廃棄に反対して図書館に立てこもる元司書と、彼を説得する刑事。ギリギリの命のやりとりの中に時々コミカルなひとこまも入るお芝居。
なんか…なんか他人事じゃない感じだ。彼の主張だと必要なのは手書きのカードではなく博識な図書館員のような気がするけど…確かにどこの世界でも「誰でもできる、誰がやっても同じ結果になる」ように整えられたものが増えて、人の温度を感じるものはじわじわ無くなっているし、生き字引みたいな人はいなくなってる。なろうとしてなれるものじゃないし、組織が研修とかで育てようとして育つものでもないし…。目録カードに限らず「何十年か後にはページをめくるって感覚だってなくなる」って台詞があったけど、そんな時代はとても怖い。でも興味がない人にはどうでもいいことだ。…あと、ごく個人的なことですが、「自分が何を写してるのかもわかってない連中が作った間違いだらけのデータ」とかって、自分のしたことを振り返って耳が痛いよ…(汗)。
一人で流れに逆らうのは無理だけど、どうするのが正しいんだろう。ラストが美しくて悲しい。いろんな意味で、とても面白い、興味深いお芝居でした。パーソナルでユニーク。

大沢さんの役は図書館に15年勤めた男らしいのですが、(役柄にか演技的にか)少年のような愛嬌があって20代にしか見えませんでした。可愛かったけどよかったのかな?(笑)長塚さんは渋い。かっこいい。ほんとにアメリカ映画の中年刑事みたいだわ。