遊動亭円木

遊動亭円木
書店でふとタイトルに惹かれて読んでみました。
とても不思議な本。裏表紙の紹介には「軽妙で、冷やりと怖い人情噺…」とか書いてありますが、この表現ではなかなかこの空気はわかりません。でも他になんとも説明しようがない。妙にノンフィクションぽい出来事があったかと思うといつのまにかゆらゆらとファンタジーな世界に入り込んだり。あたたかいかと思いきやふいに残酷になったり。いろいろなものの境界線が取り払われていて、読んでいる自分がどこに立っているのだかわからなくなるようなお話でした。最後の方で出てくる「庭園」がこのお話のイメージを象徴してると思います。


たまたま円紫さんと私シリーズとこれを読んだおかげで、少しだけ落語の知識を得ました。(本から入るなんて邪道なアプローチですが。)今まで全く縁がなかったので、落語って笑えるだけのものかと思っていたのですが、そういうわけでもないのですね。「立切れ線香」とか「つるつる」とか、聴きに行ったら泣きそうです。